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【29】 | 13年後のクレヨンしんちゃん 7 (%) (2010年02月19日 00時59分) |
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49 名前:第五話(2/6) ◆TmK8dn3Gxg 投稿日:2006/04/07(金) 02:02:35.86 ID:60VRmiQN0 「ごめんな、ごめんなシロ。オラ、何にも出来なかった。」 ぽつりぽつりと、しんちゃんが話しかけてくれる。 「いっぱい病院回ったんだ、でも、どこも空いて無くて。 空いてるトコもあったんだけど、大抵シロを一目見ただけで…何も。 あいつらきっとお馬鹿なんだぞ。お馬鹿だから、何にも出来ないんだ。」 しんちゃん、泣いてるの? ねえ、泣かないで。 「でも、ホントにお馬鹿なのは……オラだ。」 しんちゃんなかないで。 「オラっ……シロがこんなになってるの、気付かなくて…!! ずっと、一緒にいたのに…親友だって……思ってたのに、なのに!!!」 なかないで、もういいから。 「シロっ…………。」 50 名前:第五話(3/6) ◆TmK8dn3Gxg 投稿日:2006/04/07(金) 02:03:01.37 ID:60VRmiQN0 しんちゃんが泣いている。僕はなにもできない。 せめて元気なところを見せようと思って、僕はしんちゃんのほっぺたをなめた。 しんちゃんのほっぺたは、少しだけ早い春の味。 51 名前:第五話(4/6) ◆TmK8dn3Gxg 投稿日:2006/04/07(金) 02:03:28.44 ID:60VRmiQN0 僕がメスだったら、しんちゃんのために子供を作っただろう。 僕が居なくなっても、寂しくないように。 僕がわたあめだったら、しんちゃんのためにせいいっぱい甘くなっただろう。 僕が食べられても、甘さが少しでも長く口にのこるように。 僕が人間の手を持っていたら、しんちゃんを抱きしめただろう。 僕がしんちゃんにもらった、温もりを返すために。 僕が人間の言葉をしゃべれたら。 きっと、いっぱいいっぱいのありがとうとだいすきを、君に。 52 名前:第五話(5/6) ◆TmK8dn3Gxg 投稿日:2006/04/07(金) 02:03:57.22 ID:60VRmiQN0 ひっきりなしにこぼれるナミダをなめながら、僕はあることに気が付いた。 僕はここを、今しんちゃんがすわりこんでいるここを、知っている。 ここは、僕と君が初めて会ったところ。 僕と君との、始まりの場所。 |
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【30】 |
(%) (2010年02月19日 01時00分) |
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これは 【29】 に対する返信です。 | |||
54 名前:第五話(6/6) ◆TmK8dn3Gxg 投稿日:2006/04/07(金) 02:04:19.48 ID:60VRmiQN0 僕は待っていた。 あきらめながらも、いつか。 いつか、おっこちたわたあめでも。 おいしいそうだって言ってくれる人が。 ひろいあげて、ぱんぱんってして。 まだ食べられるぞって、言ってくれる人が、来てくれるって。 59 名前:最終話(1/3) ◆TmK8dn3Gxg 投稿日:2006/04/07(金) 02:05:47.18 ID:60VRmiQN0 「シロ。」 名前をよばれて、僕は顔を上げる。しんちゃんが、笑っていた。 まだまだナミダでいっぱいの顔で、それでも笑っていた。 「シロ、くすぐったいぞ。 そんなにオラの涙ばっか舐めてたら、しょっぱい綿飴になるぞ。 しょっぱいシロなんて、美味しそうじゃないから。 だからシロ、オラ、待ってるから。 今度はオラが待ってるから。」 しんちゃん。 「だから、もう一度、美味しそうな綿飴になって。 そんでもって、戻ってくるんだぞ。」 だいすき。 |
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