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【1242】 | RE:続・明暗 ドウコク! (2009年12月04日 22時09分) |
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メルカトルさん、こんばんは。 >特に「神津恭介シリーズ」は長編、短編に関わらず、どれも高水準で、常に新しいトリックに挑戦し続けている姿勢は好感が持てます 「神津恭介シリーズ」、聞いたことがあります。(その程度で申し訳ないのですが) メルカトルさんの意見を読めば、なるほど、高木彬光氏は、純粋にミステリを探求しておられるのですね。 その姿勢に、作風は違うかも知れませんが、麻耶氏を連想しました。 さて、展開は平坦だけれども、凄味を感じさせる、夏目漱石の「明暗」。 その未完の作品を、(多分、著作権切れの理由で)完結させるため、別の作者が書いたのが、「続・明暗」です。 これの展開は、夫とかつて良い仲であった女性が克明に描かれたり(「明暗」では登場しただけで終わっていた)、 その両者に疑念を抱く妻が自殺未遂を図るなど、結構、起伏に富んでいます。 ですから、ストーリー的には、こちらが勝るのでしょう。 でも。 「続・明暗」は、私が感じていた夏目漱石の真髄を全く感じさせることなく、また、深みや凄味も感じさせずに、 ハッキリ言って、昼メロみたいな作品として書きあげてしまった、と私は感じます。 「完結させたのはご苦労様だが、しかし、君は漱石の何を見ていたのだ?」と、むなしい読後感が残りました。 この私の読後感、そこに至る過程が正しいのかどうかは分かりませんが、結果としては多くの人が感じたらしく、 話題になることもなく、ひっそりと消えてしまった、と思います。 作者の姿勢や志、苦労は評価してあげたいし、偉大すぎる先人との比較は、仮に後の人が少しくらい上に書いたとしても、 それだけで劣ってしまう印象を与えがちなのは、分かるのですが。 |
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【1245】 |
メルカトル (2009年12月04日 23時00分) |
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これは 【1242】 に対する返信です。 | |||
ドウコク!さん、こんばんは。 >メルカトルさんの意見を読めば、なるほど、高木彬光氏は、純粋にミステリを探求しておられるのですね。 おっしゃる通りではないかと思います。 その姿勢は横溝氏にも通じるものがある気がします。 まだまだこれからといった、本格ミステリに伸びしろが十分にある時代だっただけに、氏のミステリに対する情熱は絶える事がなかったのではないでしょうか。 現在のように様々な制約や障害もなく、トリックもまだまだ出尽くしていなかった、いわばミステリの黄金時代と言ってもよい時期だったのでしょう。 各作家が伸び伸びと自分の代表作を物にして、読者を喜ばせていた古き良き時代だったのだろうと想像します。 >「続・明暗」は、私が感じていた夏目漱石の真髄を全く感じさせることなく、また、深みや凄味も感じさせずに、 >ハッキリ言って、昼メロみたいな作品として書きあげてしまった、と私は感じます。 一流の作家が続編を書き継いだのだとしても、やはり違和感は拭い去れなかったでしょうから、ましてや新人作家には少し荷が重かったかもしれませんね。 漱石の作品はどう考えても漱石にしか書けないのであろうし、いくら文体を真似てもどうしても「似非」になってしまうんでしょうね。 所謂似て非なるものにしかならないかと。 >「完結させたのはご苦労様だが、しかし、君は漱石の何を見ていたのだ?」と、むなしい読後感が残りました。 読了後の感想、印象は十人十色ですからね、それをどう引き継いで書き込んでいくかは、その作家の感性次第なのでしょう。 今回のこの例はその感性が上手く『明暗』とマッチしなかったようですね。 だからといって他のベテラン作家が書き継いだら成功していたかというと、そうとも限らない気もしますし、それだけ読者の期待を背負って、名作の後を継ぐという事は困難な作業なのかもしれませんね。 ではまた ^^ |
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