■ 27件の投稿があります。 |
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【7】 |
えすびい (2006年05月18日 22時41分) |
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これは 【6】 に対する返信です。 | |||
『社長 vol.7』 社長が魔法のカードを手に入れたのは,2年目の春のことであった。 「先輩先輩,実は魔法のカードを手に入れたんですよ。いっひっひっひ」 「このカードはですね,10万分物を貰えたり,10万円お金を引き出せる優れものの魔法のカードなんですよ」 まあ,要するにショッピングが10万,キャッシングが10万できるクレジットカードのことである。 『SE○BU』の『SA○SONカード』である。 彼は,借りたものは返さなければならないという民事の基本的事項を全く無視しているのである。 知ってはいるのである。 あえて,もう一度言うが,あえて無視しているのである。 そんな彼であるから,行く末は見えていた。 確か,後期の授業料の納期の頃だったと思う。 社長は仕送りをしてもらった金を全て飲み食いやお風呂に費やした。 そこで登場なのが,魔法のカードである。 「N2先輩,2万円貸してくださいよ。その2万円をSE○BUに返すとまた,新たに10万円が 借りられるんですよ。いっひっひっひ。そうしたら,先輩には寿司を奢りますんで」 N2は言われるままに2万円を貸した。 当時の2万円は今の価値では,5万くらいになるだろうか? そして,無人キャッシングの機械の前である。 「じゃ,借りた2万円をこうやって返してと・・・」 「するとですね,今までの借金がチャラになって,新たに10万円が借りられるんですよ」 「このボタンと暗証番号を押してと・・・」 「あれ,おかしいな。『貸し出しできません』と表示されてる・・・」 「もう一度やってみますね」 何べんやってもおんなじである。 借りられるわけ無いのである。 すでにキャッシングの限度まで行ってるのだから・・・ いまさら2万ぽっちで10万を新たに借りられるわけは無いのである。 しかし,魔法のカードと信じて疑わない社長は,何回もキャッシングのボタンと暗証番号のボタンを連打するのである。 哀れだ・・・ あまりにも哀れだ・・・ 納得の行かない社長を連れて,寿司を奢ったのはN2であった。 そして,授業料の納期が目前に迫った社長は,ゼミの教授に頭を下げて授業料を借りたのだった。 教授への言い訳は,『親の生活が苦しくて仕送りしてもらえない』だった。 |
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【6】 |
えすびい (2006年05月18日 22時37分) |
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これは 【5】 に対する返信です。 | |||
『社長 vol.6』 そうそう,思い出した。 あれは5月の花見のことだった。 (北海道では花見は,時期的に5月に行う) 俺や社長が属していたゼミも5月の連休後に花見を行った。 花見の場所は一応A市の名所でもあるK公園だった。 K公園はちょうど駅の裏側に位置していた。 大学からはちょうど市の裏側に当たり,交通の便が不便だった。 そのため,ジンギスカンをするための食料,飲み物,ガスボンベ,鍋など重くて持ちにくい物はすべて1年生の持ち物だった。 当然,社長も俺も持ちにくい物を持って,花見の公園までバスを乗り継いで行った。 しかし,社長と俺は,重いけれど帰りは楽になる飲み物と食料を運んだ。 花見を始めたのは,午後の1時頃。 平日の真昼間ということもあって,公園は我々の貸切状態だった。 教授を交え,真面目な花見は滞りなく進んでいった。 社長は時々,アンコールに答え,『カポ』をやっていた。そして,教授たちは普通に帰った。 事件が起きたのは,花見の帰りのことだった。 酔いの勢いに任せて,我々は歩いて帰ろうとしていた。 そして,駅の裏側に着いたときだった。 A市は駅の入り口が一つしかない。 駅の裏から大學に帰るには,遠回りの道を選ばなければならない。 しかし,我々には強い味方がいた。酔いである。 酔いの勢いで,駅の構内を横切ることを決意した。全員一致で。 線路は,10線以上ある。 幅は優に100mは超えている。 我々はゲリラの様に草むらに隠れ,辺りを見渡す。 駅員がいないのを確認し,我々は走った。 そして,駅を横切るのに成功した かに見えた。 後ろを振り返ると社長が線路の上に転んでいる。 転んだ瞬間に口からアルコールの混じった汚物を噴出したようだ。 我々は,全員,駅を横切る時よりもスピードを上げて,その場から逃げた。 その後の社長の処遇については,我々は一切関知しない。 |
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【5】 |
えすびい (2006年05月18日 22時34分) |
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これは 【4】 に対する返信です。 | |||
『社長 vol.5』 クリスマスをゼミの新入生でお祝いしようとなったのは,必然だった。 ただ,困ることがあった。 N2とM(両方♂)が,「女が来るなら俺は行かねえ」とほざきやがったのである。 女が来ないコンパに何の意味があるんだ? 俺たちはそう思っていた。 社長は特に危機感を募らせたようだった。 「N2先輩,みんなでキリスト様の誕生日をお祝いしましょうよ。女がいたっていいじゃないですか。い〜ひっひっひっひ・・・」 社長の努力によってクリスマス会は行われることになった。 N2は出席することになったがMは欠席した。 Mは,寺の息子で共産党員というかなり変人だった。 まあ,Mがいなくたって盛り上がれる。 ♂は少ないほうが確率が高くなる。 いよいよクリスマスイブである。何とか今年中に彼女を作ろうと♂達は,張り切って買出しに行った。 そうである。女共は優雅に飲み食いするための存在なのである。今日限りは。 買出しで何もしなかったのは社長であるのは,明白であろう。 N2を説得したことで,責任は果たしたと社長は思ってるのだ。 俺達が買出しに行って,Nの部屋に行くと,そこにはトドが寝ていた。 轟々といびきをかいていた。 そうなのだ。 社長は寝て10秒後にはいびきをかいて,他の人を眠らせないという必殺技の持ち主なのである。 仕方なく,俺達はパーティーの準備をした。 しかし邪魔である。100kgの肉体が。 それでも何とかクリスマスらしい飾り付けをすることができた。 そして,宴もたけなわ,酒もディナーもたらふく食った後,いよいよケーキを食おうとしていた。 ケーキを配り終わると,Nが気づいた。 フォークが無い。 すると社長は無言で割り箸を取り出し,むしゃむしゃと旨そうにケーキを食べた。 一瞬の出来事である。 誰も何も言えなかった。 そして,その後,漬物をポリポリと食い始め,クリスマスの聖なる雰囲気をぶち壊してくれたのは言うまでも無い。 |
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【4】 |
えすびい (2006年05月18日 22時32分) |
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これは 【3】 に対する返信です。 | |||
『社長 vol.4』 社長はあまり酒が好きではなかった。 酒よりもコーラが大好きだった。 でもコンパでは,誰よりも飲んだ。 彼の得意技は,『カポ』である。 『カポ』というのは,一気飲みのことである。 ごくごくと飲むのではない。 一気に,本当に一気に胃に流し込むのである。一瞬でコップが空になる。 だから,毎年の学園祭での早飲み競争では,圧倒的強さでチャンピオンに輝いていた。 『カポ』を見るのは楽しかった。 そう,その日までは。 その日は,ゼミでのコンパが行われた。 学園祭の打ち上げである。 その日も社長は酒を飲むというより,流し込んでいた。 酒に飲まれていた。 彼がすっかり出来上がった時,彼を連れて帰るのは俺の必然の義務になっていた。 俺だって好き好んで,100kgの荷物を運びたくない。 俺が100kgの脂肪を肩に掛け,タクシー乗り場まで運び,狭いタクシーに無理やり詰め込み,タクシーの中では吐かないように気を配り,寮に着いた時には小さなタクシーから100kgの肉体を取り出し,約100mもあろうかと思われる長い寮への道を100kgの肉を担ぎ,寮の二階へ100kgの煩悩を担ぎ上げ,狭く,とてつもなく汚い部屋に転がり込んだのは,午前2時を過ぎていた。 部屋の床に散らばる臭い靴下や,エロ本をどけ,新聞紙をくまなく敷き詰めた。 そして,ゴミ箱に新聞紙を入れ社長を諭した。 「おい,S。吐きそうになったら枕元にゴミ箱があるからな。そこに吐けよ。一応床にも新聞紙敷いたからな」 「先輩,すみませんね」 と言った直後である。 彼は,床に敷き詰めた新聞紙をわざわざどけて,グリーンの絨毯に色とりどりの雪を巻き散らかした。 彼からの素敵なクリスマスプレゼントである。 俺は,そのプレゼントを靴下に詰めてやろうかと思ったが,流石に止めた。 次の日,大学の講義を休んだけど,キリスト様ならきっと寛容の心で許してくれたはずだ。 当然,社長は2日後に会った時には,そんなことは微塵も覚えていなかったのは言うまでもない。 |
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【3】 |
えすびい (2006年05月18日 22時31分) |
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これは 【2】 に対する返信です。 | |||
『社長 vol.3』 社長は,北海道で有名な塾の講師をしていた。 そして,塾に来る中学生の可愛い子を見つけては俺達に報告をしてくれた。 「先輩,先輩,実は昨日可愛い子を見つけたんですよ。いっひっひっひ」 もう満面の笑みである。 本当に好きで好きでたまらないのである,女子中学生が。 まあ,確かにそうである。 彼を相手にする大人の女はいないであろうから。 これは彼の傾向であるが,同時に責任であり,義務でもある。 民事的にもなんら問題が無い。 しかし,塾に通わせてる親の心境や如何ほどであろうか? 心配である。 彼には責任を全うする能力は無い。 いつ手を,いやティ○ポを出してもおかしくないのである。 いつ出すか我々は期待していた。 そして,嬉しそうに話す彼を見るのは楽しいのである。 話を聞く我々は,刑事的に問題ない。 民事的にも全く問題ない。 気楽である。 ただ,楽しい話をするときの彼の行動にちょっと問題があった。 靴下を脱いだ後,足の指の間で色々な物を擦るのである。 擦るのは,ティ○ポもそうだが,自分の部屋でやってほしい。 彼の足は臭い。 俺の足も臭いが,彼には敵わない。 さらに,水虫であった。 もう最高である。 ある時,Nのアパートで,ギターのチューニングをするための音叉を足の指の間で擦った。 いつものように。 Nは,もろに嫌な顔をした。 しかし,社長は気付かない。 気付くわけはないのである。 彼は『非常識』を通り越して,『無常識』なのだから。 |
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【2】 |
えすびい (2006年05月18日 22時28分) |
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これは 【1】 に対する返信です。 | |||
『社長 vol.2』 それは,6月だった。妖しい季節だった。 夕闇を心に映す季節だった。 以下に述べる事件は,大学の実験の最中に起きた。 Kが,自分は暗い人間じゃないと突然言い出した。 前々から,俺たちのゼミの中で,Kは『暗い』と言われていた。 それを払拭したかったのだろう。または,張り詰めた空気を緩めたかったのだろう。 Kが突然,「俺,みんなから暗いと言われてるけど,そんなことねえよ」と言い出した。 そして,みんなが黙々とフナのスケッチを描いている中で,「俺はサンシャインKだ」と大きな声で叫んだ。 俺たちは吃驚してKを見た。 そして,実験室は大爆笑に包まれた。 時は夜の11時。午後の1時から実験は始まったのだ。もう既に10時間は越えている。 みんな,単調で苦痛な途轍も無く長い時間を過ごしたことで,妙なハイテンションモードに入っていた。 経験がある方は分かるであろう。 徹夜などをしていると,頭がマヒ状態になり,何を言っても面白く,みんなゲラゲラと大声で笑い転げる時間帯があることを。 この時の俺たちが,そういう状態だった。 そして,♂たちが自分に横文字の渾名を付け始めた。 Nは「それなら俺は,セクシーNだ」と叫び, N2は「俺は,アダルトN2だな」とボソッと言う。 そして・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 社長は満面の笑みで「それじゃ,私はナイスミドルSということで」とのたまった。 そうなのだ。 彼は気付いていたのだ。自分がみんなから中年に見られているということを。 俺たちは真夜中の実験中にも拘らず,ガラスが割れんばかりに笑った。 Y(女性。今で言うロリ顔で可愛い)は,先輩の差し入れのミスドのコーヒーを吹いた。 O(女性。松田聖子の大ファンで,自分もいつかは芸能界に入ると考えていた。美人)は,ぽつりと言った。「社長,自分のこと分かってるんだ」 それから,ゼミの中で,Sのことを『社長』と呼ぶのに,ためらう者はいなくなった。 そして数百人の他ゼミの者もみんな,社長と呼び,彼を知らない者はいなくなった。 天皇が国の象徴であるが如く,彼は大学の象徴となった。 勿論,大学当局は嫌だったろうけど・・・。 |
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【1】 |
えすびい (2006年05月18日 22時26分) |
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これは 【トピック】 に対する返信です。 | |||
『社長 vol.1』 彼の名は『社長』。 本名はとてもじゃないが言えない。 社長と俺は同じゼミの出身だ。 俺が社長を初めて見たのは,入学式だった。 第1印象は,「誰の親だ?」 社長は,入学式の新入生(大学も新入生でいいのか?)の席の辺りで,右手で髪をつまみながら辺りを見渡していた。 俺はてっきり,新入生の親が間違えて学生の席に来てしまったのだと思っていた。 そうではないことを,後に社長自らの言葉で聞く事になる。 まあ,これはどうでもいいことだ。 新入早々,彼はゼミの先輩から『社長』という,ありがたいような,ありがたくないような渾名をもらうことなり,それから俺たち以外の人は社長の本名を忘れていった。 そう,彼は4年間,先輩からも後輩からも,男からも女からも,『社長』以外で呼ばれることはなかった。俺たちを除いて。 彼はデブだ(事実)。 彼は油っぽい(髪の毛がいつもべたついている。入浴直後も。事実)。 彼は胸にいつも,点々とソースやケチャップの汁を付けている(腹が出っ張ってるからどうしても付いてしまう。事実)。 彼は眼鏡を掛けている(事実)。 彼は方形だ(事実)。 彼はロリコンだ(後に知った)。 彼の父親はDQNだ(彼に聞いた)。 彼は東京の足立区出身だ(彼に聞いた)。 彼はある一流大学の付属高校出身だ(しかしその高校は,ぜんぜん有名でない。事実)。 彼は妙に政治に詳しい(話し出したら30分は止まらない。事実)。 彼は1度,クイズ番組に出て,ハワイ旅行をしたことがある(彼によれば)。 要するに秋葉原を歩けば,間違いなくロリコンのオタクである。 こんな愛すべき奴と俺は,12年間付き合うこととなった。 人生は素晴らしい。 |
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